私は、作品を日常生活の場に置くことによって、「日常の雰囲気を変えてゆこう」と考えています。
作品は、生活の一部となったときに輝きをはなちます。

作品のフォルムは、緩やかな稜線で仕上げています。
そこに、日常の風景を写しこむ鏡面の球体を組み込んでいます。

鏡面の球体は、作品のフォルムでもあり、日常を映し出す投射機にもなります。
球体に映し出された風景は、まったく違った風景へと変わります。
そこには普段では発見できない世界が広がります。

ありふれた日常に、ちょっと視点を変えて見方をかえてみることで、世界はたちまち変わってきます。

混沌とした社会の中、見方や考え方を変えることによって世界は案外、笑いかけてくれます。

私の作品は、世間を風刺するたぐいのものではありません。
生活のうるおいとなることを願っています。
また、人々の視点を変えるきっかけとなることを願っています。


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第8回目のゲストは作家の水本智久さんです。

水本さんは、小さい頃はどんな子供だったんですか?

 双子として生まれた私は、常に兄と一緒に過ごしていたように思います。ある意味、同学年の友達が常に一緒にいるようなもので、競い合いながら成長してきたように思います。しかし、その反面比べられながらの生活だったようにも思えます。小学校に入り成績というものが付けられるようになってからは、ますますそのことが増えました。そんな中、唯一いつも兄に勝っていたのが絵を描くことと、ものを造ることでした。性格的にも、ごく普通で親や先生にとっては扱いやすい存在だったように思います。

何か絵を好きになるきっかけとかあったのですか?

 絵を好きになるきっかけを作ってくれたのは、小学校時代の先生です。版画の制作をするのに、下描きをしてきなさいという宿題がでました。私は、兄がほうきを持ち掃除している姿を画面いっぱいに描きました。今から思うと「うまい」というより、見たままを素直な気持ちで描けた絵だったと思います。その下描きを見て、大変ほめてくれました。そのことがものすごく私の心に残っています。あの先生に出会わなければ、美術の方へは進んでいなかったのかもと思うときもあります。


本格的に美術を目指すきっかけになったことは?

 本格的に作品を制作しだしたのは、大学を出てからです。上でも述べたように小学校時代から絵を描くことが好きになり中学、高校と楽しみながら絵を描いてきました。 高校2年生から大学は美術系と考え画塾へも通い、美術の道でと考えました。しかし、美術系大学へ進学したものの勉強や制作はいい加減なものでした。とても、美術系の学生とは思えないようなことをしていたと思います。大学を卒業し就職し数年後、自分の志を思い出し制作に没頭する日が続き現在に至っています。その志を思い出すきっかけは、同じ職場で働く人の一言でした。たいした言葉ではなかったのですが、私の心に響いたのだと思います。


お父さん、お母さん、リトルアーティスト達への一言メッセージをお願いします。

 学習塾、習い事など親の期待をかけるのも良いのですが、素直に感動する気持ちを育ててほしいと思います。美しいものを見て素直に美しいと思える気持ち、そびえたつ大木を見て、自然の大きさを感じる気持ちなどがそれに当たります。感じることができる子は、何も言わなくても行動を起こします。まさに、『感じて動く』ということです。子供達は、いろいろな可能性を持った宝石箱のような存在だと思います。その宝石箱から宝石を取り出すのも宝石箱をしまったままにしておくのも、素直に感動する心を持てるかどうかだと思います。感動する心を育てて下さい。また、持って下さい。


作家より

 一時期、作品の材質を変えたり、作品の方向性に悩んだりもしましたが、今は一つひとつの作品をその時その時の納得のいく作品に仕上げるよう心掛けています。あまり急がず、自分のペースを保ちながら制作活動を続けて行こうと考えています。


次回のお友達を紹介頂けますか?

 直接、会ってお話したことはないのですが、私の知り合いからの紹介で大久保さんに依頼しました。その方は、オランダ在住の方で、若い頃からいろいろな国を訪問され国際的な感覚で活躍されている芸術家と聞いています。ひと味違った御意見を聞かせて頂けると思いますので楽しみにして下さい。


 水本さん、どうもありがとうございました。

一生の中で人生を変えるような出会いっていくつかありますよね。水本さんにとって絵を褒めてくれた小学校の先生との出会い、志を思い出させてくれた先輩との出会い。偶然のようにも思えますが、それが必然だったのだと私は思います。表に現れていなくても、心の力が人を引きつけ、眠っている感性を呼び覚ましたのではないでしょうか。
皆さんも心の力を鍛え、人生を変えるような出会いをたくさんしてください。
でも、どうやって鍛えよう・・・?

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